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部屋の整理をしていたら、昔恋人が撮った海の写真を見つけた。




何年も喉元に苦い塊を抱えていた。

それはとても暗く冷たく、言いたかった言葉や、言ってしまった言葉、気付いて欲しい、気付いてしまった気持ちを飲み込む時に、嫌でもその存在を認識しなくてはいけない、しこりのようなものだったけど、たったひとつの言葉と小さな約束で、すっと溶けて喉元を通って行くのがわかった。



世界はこの日のようにずっと輝いて、ただそこにあったのに、長い間気が付かなかったのは、しこりのせいだったのか、それとも見ないふりなのか、苦味はいざ無くなってしまうと少し寂しい。



ずっと救われたいと思っていた、救われさえすれば全てを許せると思っていた。でも違うのかもしれない。



許せないこともどうしようもないことも、少しの寂しさとともに抱えていくしかない。それは人間的でとても悲しく、同じくらい幸せなことだ。